ロッテ鳥谷選手が 甲子園凱旋で思う事

敵に塩を送る

内陸に領地を持っていた武田信玄は、駿河の国から塩を買っていた。

しかし今川氏との関係性が悪化してから武田領内への塩の禁輸策が行われ、たちまち信玄は食料の保存などに使われる塩不足により窮地に陥った。

しかしその状況下で越後の国の上杉謙信が敵対していた武田信玄に日本海側の塩を送ったという伝説から「敵に塩を送る」という諺が生まれたとされている。

虎ファンがロッテ鳥谷選手に大喝采

2021年のセパ交流戦。

今年は甲子園で千葉ロッテマリーンズを迎えてスタートを切った阪神だが初戦の7回表にロッテ鳥谷選手に1点差に迫られるタイムリーヒットを打たれてしまう。

この日は試合前から阪神ナインはロッテのアップ前に鳥谷選手のところに挨拶の列をなしている。梅野選手に至っては、第一打席に自身の登場曲を2014年に鳥谷選手が使用していた登場曲をサプライズで流すという手の込んだ演出までしている。

それ自体、悪い事とは思わないがマスコミ・新聞記者・報道陣がこぞって鳥谷選手を祭り上げ、舞台がかつてのホームで活躍した甲子園球場という事もあってか、なんとなく「千葉ロッテの鳥谷が甲子園の阪神戦で活躍してくれる期待感」を煽っているように感じた。

当然、マスコミは話題の記事を書き上げることが仕事なのだからロッテの鳥谷選手が甲子園の阪神戦に登場することはこの上ないシチュエーションなのである。

プロ野球というのは興行なので、ファンが喜ぶ行為や行動は悪い事ではない。

実際、鳥谷選手が打席に入るとき、スタンドは沸き上がった。


当然、感染症対策のため声援はないのだが、球場全体が鳥谷の登場に、明らかに雰囲気が変わった。

「ここで打ってほしい」という願いを込めた声援だ。

この時点でロッテは阪神相手に2点を追いかける展開。

阪神のリリーフ陣は強力だから7回表という試合の終盤の始まりの場面で当然のことながら1点でも点差を詰めておきたい。

ここで世界でもナンバーワンを誇る熱狂的な虎ファンが、なんと困っている敵チームに「声援」という後押しを球場全体でおこなってしまったのだ。

虎ファンが井口監督率いる千葉ロッテマリーンズに「塩」を送る。

もちろん鳥谷選手が適時打を放ち、阪神が試合に勝てば万々歳なのだが、話はこの後少しややこしくなる。

セットアッパーの誤算

鳥谷選手の適時打で1点差に詰め寄られ、阪神3-2ロッテの8回表、阪神は「勝利の方程式」まずはセットアッパーの岩崎優投手がマウンドに。

ロッテは打順良く1番の荻野貴司から。2球目のストレートを左前に弾き返し、無死からランナーを出してしまった。

打順は2番ライト、マーティン。ここまで本塁打14本でリーグトップ。23日の楽天戦ではルーキーながらもドラフト1位のナンバーワンサウスポーである早川隆久投手からマリンのスタンド上段へ本塁打をぶち込んでいる。


このマーティンには左対左は通用しない。

岩崎ー梅野のバッテリーもストレートで押していく。

マーティンはキレのいい岩崎投手のストレートに明らかにタイミングが合っていなかった。しかし6球目のスライダー・・・

甘く、そして高くその球は入り、甲子園のライトスタンド中段まで持っていかれる逆転の2点本塁打となり、岩崎投手は降板。その後の岩貞投手も失点し、阪神は交流戦の大事な初戦を落としてしまった。

鳥谷に対する声援は「余計なこと」なのか?

試合後、各SNSでは物議を醸した。

要点は「敵チームである鳥谷に対して声援を送るとは、実にけしからん」「鳥谷応援するな余計なことしやがって」というところだ。もちろん大半の阪神ファンは鳥谷選手に対して好意的な感情を持っている。

中には、阪神が負けても鳥谷選手を甲子園で見れたら満足するファンもいるだろう。

しかし、現状は敵チームの選手で、ましてや試合展開としては結構シビアな場面。

ましてや交流戦初戦で、今までの過去の交流戦でセリーグ首位チームがパ・リーグ相手に連敗し、一気にセリーグの2位チームとのゲーム差を詰められてきた歴史を知っているファンは多い。

なので、「鳥谷が打って感動した」派と「鳥谷が打って喜ぶな」派が半々くらいだったか。

実はこの論争、それよりも他に試合のキーポイントは存在する。

余計な1点は初回のけん制悪送球

この試合、阪神先発は西勇輝投手で対戦成績別ではロッテ戦通算18勝をあげている。阪神に移籍してからは初のロッテ戦登板となり、交流戦の開幕投手にも指名された西投手には当然、期待が寄せられていた。

しかし、先頭の荻野をヒットで出すと、マーティンの一ゴロの間にランナーがセカンドへ進み、3番中村奨吾選手の右前打で1死1.3塁と、いきなりピンチを迎えた。

千葉ロッテの4番は安田尚憲。左の強打者を迎えた時に西投手は一塁へ牽制悪送球をしてしまい、ロッテになんなく先制点をプレゼントしてしまったのだ。

「鳥谷のタイムリーが結局余計な1点だった」「鳥谷のタイムリーが後々痛かった」などの意見が見られたが、実は本当に余計な1点はこの初回の西投手の牽制悪送球である。(失策が記録され自責無し、失点1)

鳥谷の前に藤岡のエンドラン

鳥谷選手のタイムリーばかり注目が集まるが、その前の藤岡裕大選手の時にロッテはヒットエンドランをかけている。

7回表はレアードが倒れて1アウトも6番角中選手が右前打で1死1塁、バッターは藤岡裕大で左バッターだ。当然阪神バッテリーは引っ張られたくないからアウトコース中心の配球になる。

実際、藤岡裕大選手には外角へシュートを連発している。

そしてロッテベンチが動く。カウントB1-S1からの3球目にランナーを動かした。

ヒット&ランだ。

打球は三週間へ転がったがセカンドベースカバーに動いていたショートを嘲笑うかのように打球はレフト前に転がっていった。

ここが試合の味噌である。

千葉ロッテに「なんとか西を攻略する」という意志と「1点でも点差を詰めれば阪神のリリーフ陣と言えども追いつくチャンスがある」という計算と自信がロッテベンチから感じられた瞬間だった。

鳥谷がどれだけ好きかというのは問題ではない

別にロッテの鳥谷選手がヒット打とうが、守備に就こうが、2004年のルーキー時代から見ている者としては別に鳥谷選手は引退をしたわけではないので、「ああ頑張ってるなぁ」くらいしか思わない。

もちろん活躍してほしいが、できればそれは阪神戦以外で打ってほしい。

鳥谷選手が甲子園で打ったことで感傷的になる気持ちもわからないわけではない。

強い思い入れのあるファンも多いだろう。それ自体は悪い事ではないし、鳥谷選手を好きなことや阪神を応援している気持ちは阪神ファンなら皆一緒だろう。

しかし、この試合の焦点は実は鳥谷選手ではなく、初回のけん制悪送球と藤岡裕大の決めたエンドランにある。

そのことだけ、書き留めておきたかった。

巨人は楽天に連勝し、交流戦のいいスタートを切った。振り向けばヒタヒタと巨人が忍び寄っている。

阪神ファン同士で揉めている場合ではない。


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